足掛け一年進めている編笠門作りも、ついに屋根が仕上がりました。
前回掻き付けたオギ天井の上から、防湿防虫効果を高めるため漆喰を塗ります。仕上がった天井を下から見上げると、並べたオギの間からはみ出て硬化した漆喰が見えるでしょう。落とし漆喰と呼ぶそうですが、正式名称なのかな?塗り上げたら野地板を貼り、5枚重ねの仕上がりにする為縁に杉皮を4枚重ねて貼っていきます。これで下地は完成、続いて四隅から杉皮を葺きあげていきます。葺き足は宇庵と同じく一寸五分。小口が見えるこの隅葺きはちょっと注意が必要で、段が上がっても5枚重ねの状態が変わらない様工夫しないといけません。
首尾良く隅が出来上がったらあとはもうひたすら段数を重ねていくのみ。一年前の宇庵では5、6人掛かりで昼夜通して仕上げたものを、今度は私一人で手掛けます。あの鎌倉での数日間で得た手応えや反省点を思い出し、改めて自分なりの工夫を加えながら、夜毎置き場で屋根に向き合うこの時間。孤独なれどなんとも贅沢なひととき。ふと気が付けば棟瓦まで仕上がっていました。
これで編笠門の要である屋根が完成しました。残る難所は袖垣のみ、強度に関わるので屋根を乗せる前に済ませてしまわないといけません。ようやくゴールが見えてきましたよ。
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