こんもりとした屋根が特徴的な、露地門の一種である編笠門を施工致しました。一口に編笠門といっても様々な形状がありますが、梁と桁で屋根を支える構造の武者小路千家の官休庵にある本歌をお手本にしています。
柱・梁・桁は栗丸太を釿(ちょうな)ではつり、垂木と梅喧垣の立子はカイヅカイブキの赤身を使っています。化粧天井は茅葺屋根に使われていたオギを敷き並べて漆喰を落とし、屋根材は吉野杉皮を用いました。三和土は愛知の赤サバ土と消石灰・ニガリを叩き締めた本三和土です。これが露地であれば結界として木戸を設けるのですが、ここは母屋と畑の中間地点であり実用的な生活動線であるため不要としました。
山林に囲まれた広大な空間の中に、ささやかながら庭めいた色彩が入りました。