無難な生垣と一面に高麗芝を貼り渡したいわゆる建売ガーデニング。ご多忙のご主人にとっては剪定と芝刈りが煩わしく、園芸を楽しみたい奥様が楽しむ余地の無かった空間を、〝手間の掛からない庭〟をコンセプトとしたモダンガーデンに造り変えました。
広大な庭なら問題無いのですが、枝の成長具合で遮蔽性が左右され、成長するほど占有面積が大きくなる生垣は遮蔽物としての機能が安定していません。そんな生垣と定番のメッシュフェンスを全撤去し、庭を広く使えるよう敷地境界のブロックを増し積みした上にハードウッドのフェンスを設置しました。
敷地一面の高麗芝は全て剥がし、抗菌・防カビ・消臭・防炎機能を備えた人工芝を敷き詰めました。これでご主人は煩雑な芝の管理から解放されます。防炎性とはいえ人工芝は火気厳禁。たまには家族でバーベキューなど楽しめる様、御影石のテラスで遊び場を設けました。平板の向きはヘリンボーン調、実はこちらのお施主様は神主さんで、幣(ぬさ)の形を意識して並べました。
ハーブガーデンを楽しみたい奥様の為に、敷地の南側一辺に古材大谷石で仕切った花壇を設け、既存のシマトネリコとトキワヤマボウシに加えて斑入りウツギやコトネアスター・コバノズイナなど常緑・落葉取り混ぜた中低木の林を作り、定番のラベンダーやローズマリーからカモミールやサントリナなど様々なハーブを、それぞれ日向や木陰を好む種類を選んで植え付けました。
久しぶりのデザイン外構、じっくり楽しみたかったものの雨の多さに苦しめられながらの施工で、予定よりかなり遅れてのお引き渡しとなってしまいました。快くお待ち下さり、欠かさずお茶の世話までして下さったお施主様ご一家には感謝しても仕切れません。そして何よりの労いは、全てが完了したお引き渡しの場で、早速人工芝に寝っ転がって遊び始めた坊っちゃんでした。