台東区 旧浅倉文夫氏庭園

『浅倉彫塑館』で知られる、明治から昭和初期に活躍していた彫刻家浅倉文夫氏の自宅兼アトリエだった美術館です。下町情緒に溢れる東京は谷中の一隅に佇むこの美術館には見事な庭があると聞き、仕事の合間に見学に行ってみました。残念ながら敷地内の大半は撮影禁止の為、いつもの様に画像を添えてお伝えする事は出来ません。しかしながらなんとも素晴らしい空間でした。

目当ての庭は建物にぐるりと囲まれた広い中庭。自らを『水の信仰者』と称する氏が自ら設計し『五典の池』と名付けたこの庭は、目測で全体の7割近くを深い池で満たし、仁・礼・信・義・智の五徳を冠した大小五つの石を配され、氏の自己反省の場でもあったそうです。禅庭の精神にも通じるものがあると言えますね。

植栽も大振りのモミジやウメなど様々な樹種が植わっており、説明を見るとウメやウツギなど各月に応じて氏の好む白い花を咲かせる木々が植えられている中で唯一、完璧さを避けるために赤いサルスベリを植えてあるとの事。終わるを避ける為にあえて完璧さを欠くというこの思想は以前から私も心掛けているもので、一人ジーンと感じ入ってしまいました。

あからさまな自然の景では無く、かと言っていかにも作ってやったぞといった気負いも感じられず、水音が涼やかに響く静かな良い庭でした。

数少ない撮影許可スポットから見下ろした中庭全景

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