例年1月から2月にかけては12月中に終わらなかった手入れ仕事や冬の消毒業務をこなすくらいで、作庭工事が無い限りわりと余裕があります。去年は茅ヶ崎での露地作りで忙しくしていましたが今年は急ぎの予定もなく、せっかくなので気になっていた箱根方面の庭園を見に行ってまいりました。
強羅の箱根美術館、神仙郷。
宗教家の岡田茂吉氏が昭和半ばに造営し、令和になって国指定名勝に指定された庭園です。数日前の雪がかなり残っており、冬枯れた景色は却って庭の奥行きまで見通すことが出来て有り難かった。持ち込んだのか或いは在ったものを巧みに見せているのか、庭の各所には十数トンクラスの巨石が存在感を放つ一方で、木橋や崩れ石積み・霰こぼしの石畳は精緻に造り込まれてれており、自然の力と人の技術を共存させたかの様な空間に感じられました。
箱根美術館に隣接する強羅公園内にある、白雲洞茶苑
益田鈍翁により造営され、その後原三渓・松永耳庵と近代三大茶人の手に渡った茶室です。巨石に寄り添って茶室が設けられ、同じく奇岩巨石の隙間を縫う様に露地が広がる独特な空間でした。
私自身は茶道を嗜まないものの、露地の演出力・空間活用術にはとても惹かれるものがあります。それそのものというより考え方というのか、現代住宅の庭に活かせる事が数多くあるように思います。何より、概ねちょっと変わった立地にあってその環境を活かして構成されているので、訪れるのが単純に楽しいんですよね。
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