伐採の流儀

9月になりました。日中は未だ厳しい暑さが続くものの、朝夕がどことなく涼しくなってきた、、様な気が。ニュースを見てると、下旬まで30℃越えが続く様ですが、こう暑さが続くと人間も植物も参ってしまいそうですね。

長い夏休みを終えて、ニワヤ小谷も通常運行に戻りました。先日は平塚市の御宅から依頼を頂いて、手に負えなくなってきたユズリハとタイサンボクを伐採してきました。いずれの木も縦にも横にも大きくなる樹種で、道路際に植わっているからどうしても枝がせり出して車の邪魔になってしまいがちです。普段は住まない家なのでいっそ無いほうが。とのお話でした。

伐採・つまり木を殺すのは、植木屋にとってもお施主様にとっても残念な話ではあります。しかしながら、この木が植えられた40数年前と現在では、地域の環境も住んでいる人間の生活環境も大きく変わってしまっていて、どうしてもこういった仕事が必要になってくる場合もあります。

仕事に取り掛かる前に、お施主様と一緒に簡単なお清めを行います。これまで屋敷を守ってくれた事に対する感謝と、人の都合で切り倒してしまう事に対する謝罪を、清酒を振り撒きながら木に告げます。清酒は左回りに撒き、木の魂が天に還る事を祈ります。右回しにすると地に宿ると言われています。通例の作法だと四隅に塩を撒くのですが、塩は回りの植物に悪いので私は省略しています。

私のやり方はかなり簡略化されたものです。過去には屋敷林伐採の現場で、お施主様のご意向で神主を呼び、私たち職人も参列してお清めをする現場に立ち会った事があります。人間のみならず仕事で使う道具まで清めてもらう本格的なものでした。本式にやるのが良いのは勿論ですが、人が気持ちを捧げる〝場〟として成り立っているのであれば良いのだと思っています。

使う酒はコンビニで買ったカップ酒だし、お施主様は手を合わせる仏式で拝んでおられましたが、施工はつつがなく完了し、お施主様の憂いの一つが晴れやかに澄み渡りました。

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