2026-05-17

イタリアで四阿を作る:第一期工事

日頃から懇意にしている(有)庭匠霧島の星 宏海氏に声をかけて頂き、彼がイタリアのトリノで手がけている日本庭園の一画に、伝統工法を用いて四阿を作りに行ってきました。第一期工事としての目標は棟上げまで。通し貫で組み蕪束(かぶらづか)で屋根を支える伝統的な軸組工法で設計。施工期間は約2週間、厳しくもめくるめく楽しい日々でした。

海外で日本庭園を施工する

庭匠霧島・星宏海氏との共演

事の始まりは、私が2025年に茅ヶ崎の個人宅で茅葺きの四阿を手掛けたと知った星氏から、彼がイタリアで10年来作庭している日本庭園の一画に日本風の四阿を設けて欲しいと相談を受けたことでした。ヨーロッパで活躍している星氏からは2022年にロシアでの日本庭園造成にも声を掛けて頂いており、共に海を渡るのはこれで2度目です。

庭師としての四阿づくり

四阿の建築。言うまでもなく本来なら数寄屋大工の職域ですが、〝最高の四阿をつくるのではなく、四阿がある最高の庭をつくる〟庭師として作庭する心持ちで向き合うという理念に共感して頂き、広大な敷地内で星氏は腰掛け待合を・私は四阿をというなかなかにハードな工程でした。

整地から束石設置まで

施工現場の地面を平らにして墨出しの為に丁張りを仕掛ける;造園に限らずどの工事においても最も肝心ではあるが、当たり前過ぎてもはや特筆すべき事も無い筈のこの工程が、思い返してみれば最初で最大の〝海外の壁〟でした。世界でも有数の木工大国である日本と違い木造建築の文化が薄いイタリア、なんせ材木が手に入らない!貫板や角材といった日本ならその辺のホームセンターで普通に売っている様な簡単な木材が入手困難で、仕方ないので有り合わせの木材でどうにか丁張りを掛けたものの、杭にするのに一手間かかるわ横に使った板が重過ぎて2、3回調整し直す羽目になるわ、想定以上に時間を掛けてどうにか束石の据付までが完了しました。

刻みと木組み

木材の刻み

私達庭師が庭門や四阿を施工する時はもっぱら軸組工法で施工しますが、この工法の肝は鋸と鑿を駆使した刻み仕事がメインです。特に今回は壁二面が高さ2mの土壁であり、他2面も腰壁とはいえ幅3m弱の大きな四阿なので、強度を高める為通し貫工法を採用、故にホゾ穴の位置が大量に有って刻みが大変でした。

木組み

刻みを終えたら順番に組み上げていきます。美観上、通し貫が親柱をも貫通させるのは根固めの下段のみ、あとは土壁の中に塗り込んで隠すので、貫を通しつつ柱を立てる様に。今回は柱の直径が15cm、梁桁は18cm角の大物なので一人での木組みは不可能、フォークリフトをクライアントさんが操作し、ルーマニア人の木工職人と息を合わせてホゾに差し込んで完成。

棟上げ

蕪束による小屋組

梁桁まで組み上がって工程は小屋組へ。仕様は茅ヶ崎の茅葺きの四阿と同様の蕪束工法、私の最も好きな造形です。杉丸太を皮剥きしてホゾ穴を掘り、梁の上に設置した台座の上に仮固定。全ての垂木を設置するまで暫くこの状態です。そして四隅から大ぶりの隅木を取り付け、いよいよヒラの垂木を並べて、、というところで無念のタイムアップとなりました。無理すれば進められない事もありませんでしたが、揃えてもらった垂木が注文と違って曲がりの強い自然木だった事もあり、化粧天井以降の工程への影響を考慮して、垂木の取り付けは時間を掛けて丁寧にやるべきだと判断しました。ギリギリ最低限の目標達成です。

第一期工事完成:海外で庭をつくるという事

どうにか棟上げまで棟上げの最低限までは完了しましたが、本来ならば野地板にルーフィングを貼り、腰掛けまで製作する予定でした。道具のある無し・資材の手配状況の根本的な違い・言葉の壁、、〝日本じゃない環境〟で施工する事の難しさを痛感、日付が変わるまで、時には朝まで仕掛かっていましたが、15日間の工事でのこれが限界でした。第二期は未定ですがおそらく一年後。完成する模様は必ずご報告致しますので暫くお待ちを。

施工こそ苦難続きでしたが、レンガが彩る年季の入った街並みも、アルプスの清らかさも、食べ物も人柄も、イタリアはとても良い国でした。日々の情景はInstagramに上げておりますのでそちらも是非ご覧下さい!

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