森を取り戻す仕事

 藤沢市の東部に、作庭と植栽管理でご縁を頂いてからちょくちょく管理させて貰っているお庭があります。敷地の二辺が急斜面になっており、元々は斜面全体が孟宗竹林であったのを、時間を掛けて広葉樹林に戻すのが目的です。なので庭園に施す様な整枝剪定ではなく、主な内容は伐採と枝打ち。一本ずつというより林全体を育てる感覚です。

 外来種の孟宗竹は繁殖力が強く、あっという間に背を伸ばして日光を独占して他の植生を駆逐してしまいます。その反面、根が浅いので土壌を保持する力が弱く、急傾斜地では特に豪雨が続いたら根こそぎ地滑りしかねない様な危険な環境を作ってしまうのです。お施主様も当初から強く気になさっていたものの、全面的にモルタル吹付する様な予算も無く(とんでもない金額が掛かります)、植木屋の範疇でなんとかならないかと相談を頂きました。

 そこで、まず孟宗竹を全て伐採して、竹林の陰でなんとか頑張ろうとしているエゴ・エノキ・ムクノキ・ネズミモチなど既存の樹木を育て、根の深い山林に戻す事を提案させて頂きました。初回で全ての竹を切り倒し、2、3年はタケノコを全て蹴り折りながら残す木を選び、そして7年目になる今回。

↓最初は間延びした竹林だったのが

↓ようやくここまで来ました。

 

 常緑樹・落葉樹の混ざった樹林帯になり、それぞれの枝振りから想定される根張りも充分。風当りを考えて、次回からは間伐と、代替え剪定で高さを留める事を考えられる所まで漕ぎ着けました。

 ここでは低木の一本も植えていないどころか、何本切り倒したか分かりません。それでも、お施主様の求める緑地空間を作る事が出来ました。

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